先に結論
オランダの銀行口座は、家賃の支払いや給与の受け取り、健康保険料の引き落としなど、生活のほぼすべてに必要になります。日本人がオランダ 銀行口座を開設する際の最大のポイントは、大手銀行の多くが個人番号(BSN)と住所を求めるため、到着直後はすぐに開設できないことがある点です。この記事では、オランダ 銀行口座のおすすめの選び方、開設の流れ、BSN がない時期の乗り切り方、ワーホリや自営業者の場合、そして帰国後の扱いまでを整理します。
- 長く暮らすなら、ING、ABN AMRO、Rabobank などの大手銀行が基本になります
- bunq のようなアプリ銀行は、BSN の取得前から手続きを始められる場合があります
- Wise や Revolut は、口座が開くまでのつなぎとして役立ちます
- 帰国後は、口座を残すか解約するかを、年金の受け取りや税務の状況とあわせて判断します

第1部:オランダの銀行口座が必要になる理由
オランダでは現金を使う場面が少なく、店舗によってはカードしか使えないこともあります。家賃や公共料金は口座からの振込や引き落としが一般的で、ネットショッピングでは銀行と連動した支払い方法がよく使われます。
IBAN とデビットカード
オランダの口座番号は IBAN と呼ばれる国際的な形式で、NL から始まる英数字です。日常の支払いには口座に紐づいたデビットカードを使います。以前は Maestro というブランドが主流でしたが、段階的に廃止され、現在は Visa や Mastercard のデビットカードへの切り替えが進んでいます。日本のクレジットカードは使える店も多いものの、スーパーなどではデビットカードしか受け付けない場合がある点に注意が必要です。
iDEAL による支払い
オランダのネット決済で広く使われているのが iDEAL で、銀行アプリから直接支払いを承認する仕組みです。オランダの銀行口座がないと使えない場面が多く、口座を早く持ちたい理由のひとつになっています。なお、iDEAL は欧州共通の決済サービスへの移行が予定されているため、今後名称や画面が変わる可能性があります。
第2部:オランダの銀行口座おすすめ比較
どの銀行がおすすめかは、滞在期間や働き方、英語での対応をどれだけ重視するかで変わります。代表的な選択肢を見ていきましょう。
ING
オランダ最大級の銀行で、アプリや英語のサービスが充実しており、外国人の利用者も多い銀行です。一般に BSN とオランダの住所が必要になるため、住民登録が済んでから申し込む流れになります。
ABN AMRO
外国人駐在員の利用が多い大手銀行で、英語での案内が整っています。駐在員向けのサービスを用意していることもあり、会社を通じて口座を開く人も少なくありません。こちらも一般に BSN と住所が求められます。
Rabobank
協同組合型の大手銀行で、地域に根ざした支店網を持っています。手続きの考え方はほかの大手銀行と同様で、BSN と住所が前提になるのが一般的です。
bunq
アプリで完結するオランダの銀行で、パスポートなどを使ってオンラインで手続きを始められます。BSN の取得前でも口座開設を始められる場合があり、後から BSN を登録する形をとれることがあるため、到着直後の日本人にとって使いやすい選択肢です。ただし、条件は時期によって変わるため、申し込み前に最新の案内を確認してください。
Wise と Revolut
Wise や Revolut は、オランダの銀行ではありませんが、ユーロの口座番号を持てるため、移住直後のつなぎとして便利です。日本円からユーロへの両替や送金の手数料が比較的安い点も魅力です。一方で、発行される IBAN がオランダ以外の国のものになる場合があり、法律上は国による差別は認められていないものの、実務では引き落としの登録などでうまくいかない例もあります。メインの口座はオランダの銀行で持つのが安心です。
第3部:オランダの銀行口座開設の流れ
大手銀行で口座を開設する場合、おおむね次の流れになります。
- 住民登録を済ませ、BSN を取得する
- 銀行のウェブサイトやアプリから申し込む
- パスポートや滞在許可カードで本人確認を行う
- 住所、職業、収入の見込み、税務上の居住国などの質問に回答する
- デビットカードとアプリの設定を完了し、利用を開始する
本人確認の手続きでは、資金の出どころや口座を使う目的を詳しく聞かれることがあります。これはマネーロンダリング対策として義務づけられたもので、日本からまとまった資金を送金する予定がある場合は、その資金の由来を説明できる書類を用意しておくと手続きがスムーズです。
口座の手数料と引き落としの仕組み
オランダの銀行では、日本と違って口座の維持に毎月数ユーロ程度の手数料がかかるのが一般的です。家賃や保険料、電気代などは自動引き落とし(automatische incasso)で支払うことが多く、承認した引き落としであっても、一般に一定期間内であれば銀行を通じて返金を求めることができます。友人との割り勘には Tikkie などの支払いリンクがよく使われ、オランダの口座を持つと日常のやり取りがぐっと楽になります。
日本からの送金
日本の口座からオランダの口座へ資金を移す方法には、銀行の海外送金と、Wise などの送金サービスがあります。為替レートと手数料の合計で比べると、送金サービスのほうが安くなることが多いものの、一度に送れる金額や本人確認の条件があります。家賃のデポジットや事業資金など、大きな金額を期限までに送る必要がある場合は、少額で試してから本番の送金を行うと安心です。
第4部:BSN がない時期の乗り切り方
オランダでは、住まいが決まらないと住民登録ができず、住民登録ができないと BSN が発行されず、BSN がないと大手銀行の口座が開けない、という順番の問題がよく起きます。この時期は、日本のクレジットカード、Wise や Revolut、bunq などを組み合わせて生活費を支払うのが現実的です。家賃のデポジットなど大きな支払いに備えて、日本の口座から送金できる手段を出発前に用意しておくと安心です。
出発前に準備しておきたいこと
到着後に慌てないために、日本にいるうちに次の準備を済ませておくことをおすすめします。
- 海外で使えるクレジットカードを2枚以上用意し、利用限度額を確認する
- Wise や Revolut のアカウントを作成し、本人確認を済ませておく
- 日本の銀行のオンラインバンキングと海外送金の設定を有効にしておく
- 日本の口座の住所変更や、出国後の取り扱いについて銀行に確認しておく
第5部:ワーホリや自営業者の場合
ワーホリで滞在する場合も、住民登録をして BSN を取得すれば、基本的には大手銀行で口座を開設できます。滞在期間が1年程度と短いため、手続きの手軽さを重視してアプリ銀行を選ぶ人も多く見られます。
自営業者の事業用口座
日蘭通商航海条約にもとづく自営業者として暮らす場合は、個人用とは別に事業用の口座を持つのが一般的です。事業用口座の開設には商工会議所(KvK)の登録番号が必要で、IND への申請で求められる4,500ユーロ以上の投資も、この口座の残高で示すことがよくあります。審査に時間がかかる銀行もあるため、申請スケジュールから逆算して早めに動くことが大切です。
第6部:帰国後の銀行口座と年金の受け取り
オランダ 銀行口座の帰国後の扱いは、意外と迷うポイントです。口座を残しておけば、最後の給与や税金の還付、デポジットの返還などを受け取りやすくなります。一方で、海外居住者になると口座の維持に条件が付いたり、銀行の判断で解約を求められたりする場合もあります。帰国が決まったら、住所変更の連絡と、税務上の居住国の変更を銀行に伝えることを忘れないようにしましょう。
口座を解約する場合の順番
解約を選ぶ場合は、順番が大切です。まず家賃や保険、電話などの引き落としをすべて止め、デポジットの返還や最後の給与、税金の還付が入金されたことを確認してから、残高を日本の口座などに移して解約します。急いで解約してしまうと、あとから入金先がなくなり、受け取りに手間がかかることがあります。自営業者の場合は、KvK の登録抹消や最後の税務申告との関係も考えて、事業用口座を閉じる時期を決めてください。
オランダの年金を受け取る口座
オランダで働いたり暮らしたりした期間がある人は、将来オランダの公的年金である AOW を受け取れる場合があります。AOW は社会保険銀行(SVB)が支給しており、日本の銀行口座など国外の口座で受け取ることも可能です。受取口座を変更したい場合は、SVB のオンライン手続きや書面で届け出る形になります。日本の年金を受け取っている人がオランダに住む場合も、受取先を海外の銀行口座に変更する手続きがあるため、日本年金機構の案内を確認してください。
日本語でのサポートについて
口座開設は、住民登録や KvK 登録、IND 申請と順番が絡み合うため、どこかでつまずくと全体が止まってしまいがちです。NL Bridge(Global Bridge)では、オランダでの口座開設を含む生活立ち上げの手続きを日本語でサポートしています。
まとめ
オランダの銀行口座は、長く暮らすなら ING、ABN AMRO、Rabobank などの大手銀行、到着直後は bunq や Wise、Revolut でつなぐ、という組み合わせが現実的です。BSN と住所がそろうまでの期間をどう乗り切るかを事前に考えておけば、慌てずに済みます。帰国後の扱いや年金の受取口座まで見据えて、口座の持ち方を計画しておきましょう。
写真: Guilhem Vellut / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)