先に結論
オランダの家探しは、移住準備のなかでもっとも時間とエネルギーを使う工程です。オランダ 家探しが大変と言われる最大の理由は深刻な住宅不足で、良い物件は掲載から数日で決まってしまうことも珍しくありません。この記事では、オランダの家探しに使えるサイト、入居審査と法律の基本、エージェントや家探し代行の使い分け、そして詐欺の見分け方を、日本人の視点から整理します。
- 賃貸探しの中心は Pararius で、Funda は購入物件、Kamernet は部屋探しに強いサイトです
- 入居審査では、家賃の3〜4倍程度の総収入を求められることがよくあります
- デポジットは基本家賃の2か月分までと法律で決まっています
- 内見前の送金を求める物件は、詐欺を強く疑うべきです

第1部:オランダの家探しが大変と言われる理由
オランダでは長年にわたって住宅の供給が需要に追いついておらず、特にアムステルダムやユトレヒト、ハーグなどの都市部では賃貸物件の奪い合いが続いています。条件の良い物件には内見の申し込みが殺到し、内見できるだけでも幸運という状況になることがあります。
外国人ならではの難しさ
移住直後の外国人は、オランダでの収入の実績や信用の記録がないため、審査で不利になりがちです。また、住民登録ができる住所がないと BSN が発行されず、銀行口座や滞在許可の手続きも進まないため、家が決まらないことが生活全体の遅れにつながります。こうした事情が重なって、オランダの家探しは大変だと言われるのです。
第2部:オランダの家探しに使えるサイト
オランダの家探しのサイトは、それぞれ得意分野が異なります。複数のサイトを並行して使い、新着通知を設定しておくのが基本です。
Pararius
賃貸物件を探すならまず押さえておきたいサイトで、英語で利用でき、不動産会社が掲載する物件が多く集まっています。駐在員や外国人向けの家具付き物件も多く、移住者がもっともよく使うサイトのひとつです。
Funda
オランダ最大級の不動産サイトで、購入物件の掲載が中心です。賃貸物件も掲載されていますが、主に家を買う人が相場を調べたり物件を探したりする際に使われます。将来の購入を考えている人は、相場観をつかむために眺めておくと役立ちます。
Kamernet と HousingAnywhere
Kamernet は個室やシェアハウスの部屋探しに強いサイトで、学生や単身者に多く使われています。HousingAnywhere は数か月単位の家具付き物件が多く、到着直後の仮住まいを探す際に便利です。どちらも本契約の前に、住民登録ができる物件かどうかを必ず確認してください。
第3部:入居審査と法律の基本ルール
オランダの賃貸では、入居審査のポイントと借主を守る法律を知っておくことが、交渉でも詐欺対策でも役立ちます。
収入の条件と必要書類
多くの貸主や不動産会社は、月の総収入が家賃の3〜4倍程度あることを条件にしています。雇用契約書や給与明細、自営業者であれば KvK の登録証明や事業の収支、銀行の残高証明などを求められます。日蘭通商航海条約のルートで自営業者として移住した直後は、オランダでの収入実績を示しにくいため、日本での収入資料や預金の証明を英語で用意しておくと説明しやすくなります。
デポジットと家賃のルール
2023年7月以降、デポジットは法律で基本家賃の2か月分までに制限されています。また、2024年7月に施行された手頃な家賃法(Wet betaalbare huur)により、住宅の設備や広さなどを点数化するポイント制度の対象が中間価格帯の住宅にまで広がりました。点数が一定以下の住宅では家賃の上限が決まっているため、相場より明らかに高い家賃を求められていると感じたら、制度に照らして確認する価値があります。基準となる点数や金額は毎年改定されるため、最新の情報を確認してください。
仲介手数料の二重取りの禁止
オランダでは、貸主の依頼を受けて物件を仲介する不動産会社が、借主からも仲介手数料を受け取ることは認められていません。貸主側の不動産会社から借主に手数料を請求された場合は、支払う前に内容を確認しましょう。一方、借主が自分で依頼した賃貸エージェント(huurmakelaar)には、借主が報酬を支払うのが通常です。
住民登録ができる住所か
オランダで暮らすには、住民登録(BRP)ができる住所が欠かせません。物件によっては貸主が住民登録を認めていなかったり、無許可の又貸しで登録できなかったりする場合があります。契約前に、住民登録が可能かどうかを書面で確認しておくことが大切です。
契約期間と家具の有無
2024年7月以降、オランダの賃貸契約は原則として期間の定めのない契約とされ、期間を区切った契約は学生向けなど一部の例外に限られるようになりました。また、物件は家具付き(gemeubileerd)、床材やカーテンのみ付いた状態(gestoffeerd)、何もない状態(kaal)に分かれます。何もない状態の物件は家賃が抑えめでも、床や照明の工事費がかかることがあるため、総額で比べることが大切です。家賃とは別に、共用部分のサービス費、光熱費、自治体の税金などがかかる点も確認しておきましょう。
第4部:エージェントと家探し代行の使い分け
オランダの家探しの代行やエージェントの利用は、費用がかかる代わりに、時間と手間を大きく減らせる選択肢です。
借主側の賃貸エージェント
借主のために物件を探してくれる賃貸エージェントは、希望条件に合う物件の紹介、内見の手配、条件交渉、契約書の確認などを担います。報酬の目安は家賃の1か月分前後に付加価値税が加わる程度とされることが多いものの、事務所によって大きく異なるため、事前に確認してください。現地にいない状態でオンライン内見を代行してもらえることも、移住前の日本人にとっては大きな利点です。
リロケーション会社の活用
会社の転勤で移住する場合は、家探しに加えて住民登録や学校探しまで支援するリロケーション会社を会社が手配してくれることもあります。自営業者として移住する場合は自分で依頼先を選ぶことになるため、料金体系と支援の範囲を比べて決めるとよいでしょう。
依頼先を選ぶときの確認点
エージェントを選ぶ際は、業界団体への加盟の有無、報酬が発生する条件、契約が成立しなかった場合の扱い、対応できるエリアと言語を事前に確認しておくと安心です。成功報酬なのか、着手金が必要なのかによって負担は大きく変わります。口コミだけで判断せず、契約書の内容を読んだうえで依頼することが、後のトラブルを防ぐことにつながります。
第5部:詐欺の見分け方
住宅不足につけ込んだ詐欺は後を絶ちません。次のような特徴がある物件には、特に注意が必要です。
- 貸主が海外にいて、内見ができないと説明される
- 内見の前や鍵を受け取る前に、デポジットや家賃の送金を求められる
- 相場より明らかに安い家賃で、写真だけが立派に見える
- 個人間送金サービスなど、追跡しにくい方法での支払いを指定される
- パスポートのコピーなど個人情報を、契約前に過度に求められる
被害を防ぐために
支払いは、必ず内見をして物件と貸主の実在を確認し、契約書に署名してから行うのが原則です。不安を感じたら手続きを止め、信頼できる不動産会社や第三者に相談しましょう。
第6部:日本人家族の家探しスケジュールとコツ
家族で移住する場合は、入居希望日の1〜2か月前から本格的に探し始め、到着直後の仮住まいを確保しておくのが現実的です。日本人家庭が多いアムステルフェーンは、日本人学校や日系の店舗に近く人気がありますが、そのぶん競争も激しくなります。学校と通勤の範囲を先に決め、そのなかで複数の地区を候補に入れておくと、決まるまでの期間を短くできます。必要書類は英語で事前にそろえ、気に入った物件にはすぐに申し込めるよう準備しておくことが、オランダの家探しを乗り切るいちばんのコツです。
申し込みメッセージの工夫
人気の物件には多くの申し込みが集まるため、最初の連絡で信頼できる借主だと伝わるかどうかが結果を左右します。家族構成、職業や収入の概要、入居希望日、希望する契約期間、喫煙やペットの有無などを英語で簡潔にまとめ、必要書類をすぐに提出できることを書き添えておくと、内見の案内を受けやすくなります。返信は早さが勝負なので、テンプレートを用意しておき、物件ごとに少しだけ調整して送るのが効率的です。
仮住まいから本契約へ
到着直後は、HousingAnywhere などで数か月の家具付き物件を借りて生活を立ち上げ、その間に本命の住まいを探す方法がよく取られます。ただし、仮住まいでも住民登録ができるかどうかで、その後の手続きの進み方が大きく変わります。BSN の取得、銀行口座の開設、滞在許可の申請を早く進めるためにも、仮住まいの段階から登録の可否を確認しておきましょう。
日本語でのサポートについて
オランダの家探しは、サイトの使い方だけでなく、住民登録や滞在許可の手続きと一体で考える必要があります。NL Bridge(Global Bridge)では、物件探しの進め方から住民登録、その後の生活立ち上げまでを日本語でサポートしています。
まとめ
オランダの家探しは、住宅不足のために大変ですが、仕組みを知っていれば進め方は見えてきます。Pararius や Funda、Kamernet などのサイトを並行して使い、収入の条件やデポジットの上限、仲介手数料のルールを理解したうえで、必要に応じてエージェントや代行を活用してください。そして、内見前の送金を求められたら立ち止まることが、詐欺から身を守るもっとも確実な方法です。
写真: Han Jongeneel / CC BY 3.0 (Wikimedia Commons)